厚生労働省 柴崎さん


労働基準監督官 (公務員) 柴崎さん

 国家公務員の専門試験である労働基準監督官採用試験に合格し,労働基準監督官B(理工系)として2019年度に採用されました。労働基準監督官は,厚生労働省の都道府県労働局に所属し,全国転勤を伴う異動のある国家公務員です。

 労働基準監督官は労働基準関係法令(=労働基準法,労働安全衛生法,最低賃金法などの法律を指しています。以下同じです。)に基づいて,事業場(=工場や事務所のことです。)に立ち入り,法に定める労働条件や安全衛生の基準を事業主に守っていただくよう,必要な指導を行い,労働条件の確保・向上と働く人の安全や健康の確保を図ります。また,不幸にして労働災害に遭われた方に対する労災補償の業務を行います。

 私は,学生時代,物性化学研究室に所属しており、モンゴルの自動車社会化が進むことに伴う重金属の土壌汚染の広がり方や自動車社会化による環境への影響について研究していました。

 労働基準監督官の業務は,事業主に対して労働基準関係法令について説明するとともに,違反している場合には是正に向けた具体的な説明をする必要があり,私は、ゼミや学会において研究成果を発表する際に,正しく伝えることを心掛けていましたが,この経験が,事業主への説明や理解を深めてもらうことに活かされていると感じます。また,学科で身に着けた化学物質や物理現象の知識によって,安全衛生に関する説明の際に説得力を持たせることができ,学校生活において実習等を計画的にこなしていた経験が,一つ一つの業務を取り組むにあたっての心構えを形成したのだと感じています。

 このように一見関係ない分野であっても,学生時代に真摯に取り組んだことは,直接的にその知識が生かせないとしても,その考え方や心構えは必ず生かせます。

 これから進路を選択する高校生のみなさまには,大学は,入ることが目的ではなく,入ってから,将来自分が取り組んでいきたいことを見つけることが大切だということを,この機会にお伝えしたいです。また,環境生命科学科が,幅広い分野の研究に携わることができるので,様々なことに興味をもって取り組める方にこそお勧めします。